てんにっき

1人気ままにつぶやかん

昨今のアルバム市場

 激動の世紀末に最盛期を迎えその後急激に縮小へと向かった日本のCD市場は、10年代後半の着うたダウンロード隆盛、そして昨今のストリーミング市場の拡大のなかでも依然としてその存在感を発している。それが特に顕著に出るのがアルバム市場である。 

 CDアルバムは年間765万枚を売り上げた宇多田ヒカルのデビューアルバム発売年の1999年以降その生産枚数、生産額ともに急降下している。そして2012年を最後に100万枚売上すなわち"ミリオン"の輩出も途切れている。しかしこのままプラットフォームがCDから別のものに移行していくのかというとそうはならなかった。

 まず2000年後半に端を発したアルバムのダウンロード市場はとても小さい。日本レコード協会の有料配信認定によると、これまでに10万DLを突破した作品は歴代で15作しかない。また近年音楽聴取手段の主流となりつつあるプラットフォームにストリーミングサービスがあるが、これに関してはいくつか特筆すべきことがある。まずこのサービスが日本で使われ始めたのは主に2016、17年前後からだということだ。その当時はほとんどの大物アーティストが音源解禁を行っていなかった。現在は一部を除くほとんどのアーティストの作品がストリーミングサービスで公開されているが、ついこの前まではやはりアルバム市場におけるストリーミングサービスの占める割合はCDに比べると圧倒的に小さかっただろう。

 しかしながらやはりストリーミングサービスの普及は着々と進んでいる。2018年ブレイクのあいみょん、翌年ブレイクのOfficial髭男dismはいずれもストリーミングで最もその人気が顕著に表れている。19年2月発売のあいみょんのオリジナルアルバムのCD売上は初週6万枚と低水準であったが、ストリーミングサービスでの人気は抜群であった。同年11月リリースの髭男のアルバムもCD売上でこそ初週8万枚売上にとどまったがほとんどのアルバム曲をストリーミングチャートの上位に送り込んでいる。

 目下の新型コロナ騒動の中でCD一強のアルバム市場が一転しつつあるのも事実だ。緊急事態宣言などによる外出自粛の影響でCDアルバム売上枚数は激減している。また多くのメジャーレコード会社は自社のアルバムCDの発売日を延期している。対照的にこのコロナ禍のマイナスの影響を受けていないストリーミングでは、外出自粛中の人々が家での楽しみ方としてサービスに加入する例をはじめとした様々な要因で現在その市場が急拡大しているようだ。数か月前と比べてSpotifyの上位200曲の再生回数は日に日に増加している。

 一度は衰退しつつも常にアルバムの購入手段として第一にあったCDはついにストリーミングという新たなプラットフォームにとって代わられようとしている。その中でプレイリストなど自分の好きなように曲を集めて聴くことができるという新たな音楽聴取スタイルが今後アルバムの概念にどのような影響をもたらすのかも考察しつつ今後も一音楽ファンとしてその動向を見守っていきたいとおもう。

 

 最後に髭男の最新アルバムから筆者が特に好きな一曲を紹介する。


Official髭男dism - 旅は道連れ -